遊郭巡礼 旅館麻吉と吉原ツアー

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赤線 青線 ちょんの間

それって妖怪の名前でしょうか

そうゆうことにしときましょうか

作:ギチケン

 

欲望渦巻く遊郭が今でもみんな大好きだ

 

人間を含む動物の中で底なしなのが「性欲」と「金銭欲」。

「甲斐庄楠音の横櫛」デロリな絵として有名

その2つの欲の塊を一手に引き受けていた遊郭。遊郭の中では金使いの良い客が好まれ、「士農工商」の身分制度を「金銭」で超えられる場所であったという。武士よりも豪商が偉く振る舞える場所。そしてそのまわりに絡みつく性欲。そんな遊郭が栄えていったのは当然の結果だろう。

次第に厳格なしきたりが生まれ、一大文化となり、豪華絢爛な世界観にまで発展したため、今でもその過去を探ると人々を魅了するものがある。「しきたり」が存在するのが重要で、もしも自由を愛するヒッピーなノリで運営されていたら、おそらく後世まで人々を魅了する文化にはなっていなかっただろうと思う。

昨今では、花魁を題材にした娯楽作品は多くあり、遊女と客との間に渦巻いた欲望や駆け引きなどの人間ドラマが描かれている。

古くは歌舞伎で吉原100人斬りの「籠釣瓶花街酔醒」という演目が有名だ。「水も溜まらぬ切れ味」で一度抜くと血を見ないではおかないという妖刀村正が登場する。「花魁、吉原、妖刀」と妖しいワードが目白押しだ。1888年に初演し、今でも演じられているのでまだ鑑賞していなければチェックしてみるとよい。

客待ちをする吉原遊郭の遊女 wikipedia

 

娯楽作品はいつでも鑑賞可能な便利な世の中だが、そうではないのが元々遊郭があった場所の文化資産だ。

遊郭エリアに建てられていた妓楼を含めた建物は文化的価値が高い。しかし現存している建物が少なくかつ老朽化によりどんどん取り壊されているという。

失われゆく遊郭を我々が文化的に体感できる時間はもう残り僅かなのかもしれない。

そうなると居ても立っても居られない。

ということで、今回は遊郭を体感するために我々ができることを紹介する。

伊勢参りがてら元遊郭の旅館「麻吉」に泊まる。

 

「大坂の新町遊廓、京都の島原遊廓、江戸の吉原遊廓は、三大遊廓と呼ばれて大いに栄えた。これに伊勢古市(幕府非公認)、長崎丸山を加えたものが五大遊郭になる。」(wikipedia)

江戸時代に栄えた伊勢古市の遊郭。

その当時の面影を残し、現存している旅館が「麻吉」だ。

ここで遊郭の面影を堪能できる。

 

木造で築200年以上(途中改修はしているだろうけど)。

ここは今でも宿泊が可能である。

老朽化で取り壊されたり形が変わる前に泊まりに行こう!

ここの建物は独特な風貌で、急斜面に沿って建てられている。

 

駐車場から一見すると2階建て。しかし奥に進むと下り階段があり、その斜面にそって建物が続いている。

斜面に沿ってずいぶんと下り全体像としては6階建ての旅館なのだ。

 

ちなみに私が泊まったのが2014年。その時には女将と若い男性の2人で対応してくれたが、この建物を維持し経営していくのはとても大変だろうと思う。それでもこのまま長く続けてほしいなと思った。

宿泊費は1泊2食付で1万少々と格安。料理もおいしい。

何より元遊郭に泊まっているという恍惚感を味わえるので是非おススメしたい宿だ。

渡り廊下を当時の旦那衆になった気分で歩く

そして敢えて言う必要もないが、伊勢に来たら必ず伊勢神宮を詣でることを忘れずにしたい。

昼間は伊勢神宮で身を清め、夜は遊郭への物思いに耽る。なんて贅沢な旅なんだろう。

箸袋がグッドデザイン!必ず持って帰るべき

 

建物は重要文化財に指定

いつも旅行ではホテルに泊まるという人には驚きの内装だろう。文化的視点だといつまでもこのままでいてくれと願うばかり。

 

今年で400年目を迎えるはずだった吉原遊郭

次に紹介するのは東京の吉原だ。1618年から1958年の公娼制度廃止までの340年間にわたって栄えた遊郭で、世界に類をみない性都市であった。

もし吉原遊郭が続いていれば、今年で400年目を迎えていた。

本来は闇の部分である性カルチャーだが、今や大ぴらになっているし、Wikiでも充分に学べる。大体のことは皆さんもご存じだろう。

ただ、ここで大切にしたいのは座学ではない。失われゆくものを体感することが大事なんだ。

体感するって言ってもどこをどう回っていいのかわからんよという声が聞こえてきそうだ。

そんな遊郭ド素人の我々に、ぴったりのツアーがある。

 

江戸の吉原を案内!カストリ書房の遊郭ツアー

吉原遊廓があったエリアに遊廓図書を専門に扱うカストリ書房があり、その店主の渡辺豪氏が案内人を務める遊郭ツアーだ!

やはり遊郭のプロに案内してもらうのが一番いいだろう。

ちなみに文化的背景からか、昨今では女性参加者が多いというので参加を臆することはない。さっそく申し込んだ。

カストリ書房の店先

 

待ち合わせは吉原大門交差点にAM10時。この日は私を含め3名が参加。

ツアーの所要時間は1時間ほど。

吉原エリア内の各スポットを巡りながら説明をしてくれる渡辺氏。

「1603年に江戸幕府が開かれ、1618年に人形町で吉原遊郭が始まり、1657年にここ三ノ輪に移転し新吉原となった。」

終始カンペなしでスラスラと説明してくれる渡辺氏に私は開始3分で畏怖するとともに憧れてしまった。

誰しも歴史の授業で様々な年代を覚えた経験がおありだろう。

しかし、遊郭の始まった年や移転した年、そして終わった年を記憶している人はいないはずだ。

暗記が苦手な私は語呂合わせで覚える派だ。すかさず考えてみた。

「吉原遊郭の始まりは『色に染まってもいいや(1618年)』」で暗記することにした。

これでいつ尋ねられても大丈夫だし、私は飲み屋でこうゆうことをベラベラしゃべるのが好きなタイプだ。

撮影した写真の一部を公開する。

なお、戦争の影響などで吉原遊郭の建物等はほとんど残っておらず、渡辺氏の解説がないと素通りするようなスポットが沢山あった。

吉原エリアは柳の木が植えられている。柳腰という言葉があるように女性の妖しい色気を彷彿とさせる。

 

喫茶店の中を外から除くと女性で満席であった。吉原で働く女性の休憩場になっているのだろう

 

吉原遊郭からの屋号を今でも使っている角海老グループ本店

 

吉原神社

 

御朱印。

 

「浄閑寺」別名を投げ込み寺。死んだ遊女たちは藁に包まれここに投げ込まれたそうだ

 

カストリ書房の店内

遊郭関連の本が並ぶカストリ書房の中

 

助七と助八の墓石。気になるオブジェをしている。

 

渡辺氏に遊郭入門として推薦してもらった本と事前に狙っていたキーホルダーとシールを購入。ツアー参加者にはカストリ書房内で使用可能な割引券がもらえる。

 

カストリ書房HP:http://kastoribookstore.blogspot.com/

これを機に吉原遊郭の雑学記事を近日中に作成したいと思う。乞うご期待!

 

私がおススメする変わり種の遊郭関連の娯楽作品

ぼっけえ、きょうてえ


ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫) [ 岩井 志麻子 ]

岩井 志麻子 著明治大正くらいの岡山県が舞台となっており作品全体に土俗的な田舎の悪しき風習のようなものが漂っています。遊郭やら伝染病(虎列剌)をはじめ、人間の狂気が描かれている。4編の短編小説なのでスラスラ読めます。タイトルの意味は岡山地方の方言で「とても、怖い」。日本ホラー小説大賞作品。因果好きには薦めたい一冊。

インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~ [DVD]


監督:三池崇史 原作:ぼっけぇ、きょうてい
アメリカのテレビで『マスターズ・オブ・ホラー』という世界のホラー映画を13作品シリーズで放送するというオムニバスがあり、そのために制作された1作。ところが、放送コードが緩いケーブルテレビにもかかわらず、本作品だけはその内容、特に奇形シーンや拷問シーンがあまりにも残虐なため、アメリカでは放送中止になった曰くつき。日本でもほとんどの映画館から上映拒否!ギチマガ読者なら「上映拒否=絶対見ないとだめ」の方程式がなりたつ。映画は原作の「恐さ」よりも「痛み」が全面に出ている印象で、途中で元K-1ファイターの小比類巻 太信を彷彿とさせるシーンあり。

ヨコハマメリー


ヨコハマメリー 白塗りの老娼はどこへいったのか (河出文庫) [ 中村 高寛 ]


ヨコハマメリー [ 永登元次郎 ]

これは遊郭でも遊女の話でもないが、「パンパン」と呼ばれる娼婦だと噂されていたメリーさんのドキュメンタリー。歌舞伎役者のように白粉を塗り、フリルのついた純白のドレスをまとって一種異様ないで立ちで横浜に出没していた。

出身は「ぼっけぇ、きょうてい」の舞台と同じ岡山県だという。岡山県恐るべし。

 


 

勝ってうれしい花いちもんめ

負けて悔しい花いちもんめ

この子が欲しい、この子じゃわからん

相談しよう、そうしよう

 


吉原遊郭についてさらに調査したレポート記事